クーベリックの「新世界より」
私の大好きな名盤・その12
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」
指揮:ラファエル・クーベリック、演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、録音:1972年6月
最初はいちばん上の兄が持っていたセル盤を聴いていた。CDで最初に買ったのがトスカニーニ盤、あとノイマン盤、アンチェル盤、デイヴィス盤、ケルテス盤、チェコ・フィルハーモニー凱旋記念のクーベリック盤などだが、凱旋で沸き返るチェコフィルハーモニーのライヴより20年近く前に録音されたベルリン・フィルハーモニー盤の方に惹かれた。
とにかく上手い。管楽器が冴えに冴えている。カラヤンが追い求めたムードミュージック的世界から解き放たれた喜びが爆発したのだろうか。楽器本来の美しい音色を遺憾なく発揮しながらクーベリックさんが目指す情熱の迫真音楽に心から賛同して、ややもすれば通俗音楽と見なされがちな交響曲をありえないほどの高みへと昇華させて小気味いい。